短編小説 楽器を置いてしまった貴方へのメッセージ 《あの日に・・・・》 第1話
作:トロンボーン 中川
======================
「君ねーっ!こんな事も出来ないんじゃ どこへ行っても務まらないよっ!ねー君!わかってるの?」(−_−#)
社長が怒った。
「はー すみませんm(__)m」
「はー すみませんじゃないよ!!ホントにっ!!」
また社長が怒った。
「・・・・・(*_*)」
「君ねーっ もう明日から来なくて いいから!クビだよ!クビ(-.-;)」
とうとうクビに、なってしまった。(*_*)
======================
「お前さぁー さっきから ボーっと しちゃってさぁー。みんな 今夜は お前のために集まってんだぜっ」
「そうよぉ〜ぉ 私なんてさぁー 女子会 断って来たんだよぉ〜ぉ。 ねぇ 博志君の好きな焼酎ロックよ。ねぇ 大学ん時みたいにさぁ 一気飲みしちゃってよ。そうそう 大学ん時にさー みんなで九州へ卒業旅行行った時にさぁ 生まれて初めて飲んだ焼酎に ベロンベロンに酔っ払ってさぁ みんなで介抱するの大変だったんだからぁ」
「そうだ もう一度 改めて乾杯しようぜ」
落ち込んだ博志のために友人が集まった。
「あっ!おねえさーん!生ビール!生ビール!」
「おー 博志よーぉ クヨクヨすんじゃねぇよ。 おめぇよーぉ。 やっちまったものは 仕方ねぇじゃねぇかよーぉ。 元気だせよなぁ 博志よーぉ」
「ハ〜イ ビールお待どーさまでしたーぁ」
女性店員が注文のビールと料理を運んで来た。
「ねぇ 博志君〜ん ビールきたわよぉ」 女友達が言う。
「おー 博志!乾杯だ 乾杯!!」
「乾杯ぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぃ」(^O^)/
「おい!ちょっと 乾杯ぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぃって 長くねぇか!」
アロハシャツにサングラスの友人が言った。
「ちょっとぉ あんたの方が長いよっ!」
「・・・・・m(__)m」
「ところで博志君 これから どうするのぉ 不景気でさー 仕事あるのかなぁ」
「俺さぁ 何やってもさー 失敗ばかりだもんなーっ 。俺なんか もうダメだよ。」
女友達の問い掛けに博志が答えた。
「そんな事ないわっ!ちょっと失敗しただけじゃなぁーい」
「いやさぁ ちょっとじゃないんだよ」
「え?」女友達が不思議な顔で博志を見た。
「あのさぁ お客様の 大切な軽自動車に 軽油を給油しちゃったんだもんなぁ。(*_*)俺さぁ 軽自動車は軽油で走るんだって 子供の時から思ってたんだよなぁ」
「・・・・・(−_−)」
女友達は何も言えなかった。
「だからよぉー 博志は スタンドは務まんないって 言ったのによーっ」
サングラスの友人が言う。
「あ〜あ ホント俺は 何を やってもダメな男だな」博志が肩を落として言うと。
「だけどさぁ お前さぁ 大学ん時 バンドやってたんだよな。いつもさぁ 革ジャン着てさぁ リーゼントだよ。すっげーロッカーじゃんって 思ったけどさぁ ホントはジャズメンだったじゃん!」
と博志の友人が言ってトイレに駆け込んだ。
「そうそう 博志君! バンド リーダーだったよね。なんてバンドだったっけ?」
「確かよーっ!赤川博志&スウィート スイングスだったよなっ!そうだよな 博志!」
サングラスの友人が博志の顔を覗くと。
(-.-)ZuZuZuZuZu
「まったくよーっ!コイツ 寝ちまいやがったぜ!よーっ博志ーっ 起きろよーっ」
博志の体を揺すると 女友達が言う。
「まぁ〜 博志君の寝顔カワイイ〜ぃp(^^)q」
「よーっ博志ーっ!」
(゜o゜)\(−_−#)
たまり兼ねたサングラスの友人が博志を叩いた
「もーぉ 叩かないで寝かしてあげなさいよーっ もーっ この酔っ払いーっ」
女友達がサングラスに怒った。
「おいおい 何騒いでんだぁ トイレまで まる聞こえだぜ!!」
「せっかく 博志の昔話してるってーのによーっ コイツ寝ちまいやがんの」
サングラスが博志を睨んだ。
「そうそう お前さぁ 大学ん時のバンドさぁ 確か 赤川博志&スウィートスイングスだったよな。あの グレン ミラーのコピーバンド」
「そうだったかな〜」博志が そっけなく言った。
「お前がさぁ バンドの前に立ってさぁ トロンボーン演奏するの。 カッコ良かったよなぁ」
「そうよーぉ。私の友達みんな博志君のファンだったんだから。もちろん私が一番のファンだったんだからねo(^-^)o」
女友達は今でも 博志に恋心を抱いているみたいであった。(#^.^#)
「そうそう あの ムーンライト セレナーデ。とっても素敵だったわ〜ぁ」
「そうだよな!あれって バンドがメロディー演奏するバージョンと 博志がソロでさぁ バンドが伴奏するバージョンが あったよな」
「そうそう 断然 博志君が 演奏するほうが良かったわ〜ぁ」
「あとさぁアメリカン パトロールとか ノリノリでさぁ ペンシルベニア6−5000の グリッサンドなんか最高だったぜ!」博志の友人がマグロの刺身を頬張りながら言う。
「ねぇ 博志く〜ん! またさあー ムーンライト聞かせてよーぉ」博志の女友達が ビールを一口飲んで そう言った。
「おー 博志よーぉ! 聞いてんのかよーぉ!!」
「聞いてるさ」
博志は 酔っ払いのサングラスに言った。ところが博志の返事は以外なものだった。
「さっきからさあー バンドが どうとかさあー もう 昔の話なんて どうでも いいんだよ! そんな昔の話なんて 忘れちまったよ!もう 20年も昔の話なんか・・・・」
博志が そう言いながら 焼酎を一気に飲み干した。
「お前さぁー あの トロンボーン どうしたんだよ 今でも 持ってんだろ!」
サングラスが 言った時。
「もう 捨てちまったよっ。 あんなの!どうでもいいんだ。面白くも なんとも ねーっ!何がトロンボーンだ グレン ミラーだ!」
そして 博志は「何が ムーンライ・・・」と 言いかけて やめてしまった。
女友達の顔が 目に入ったからである。
「もう やめたんだ!昔の事は もう忘れたんだ!今の俺はさ 何をやってもダメな男なんだよっ!それだけさっ」
と言って 博志は生ビールを 一気に飲み干した。
そして 唯一の財産であるロレックスの腕時計に 目をやった。
「もう こんな時間!俺帰らなきゃ」
と博志が 言いながら 立とうとした瞬間 酔いが回っていたのか ふらつきながら 右隣りに座っていた 女友達の方向へ倒れてしまった。
女友達は 瞬間の事だったので避け切れず 自分の顔と博志の顔が 当たってしまった。
その時 博志と女友達の唇が 触れ合ったように感じた。(つづく)