Vol.103 「プログラム・パンフレット」のお話

よく目に留まるのは電車の車内吊り広告。
次に雑誌の表紙・目次・見出しのあるページ。
あらゆるところに置いてある商品やイベントのチラシ。
映画やミュージカル鑑賞時のパンフレット。
そしてもちろん、他楽団のコンサートのプログラムやそこに挟んであるチラシ。
やはり劇団・楽団でもプロの物は参考にしたくなる事も多いです。
常に意識をしている訳でもないのですが、元々の広告屋時代の習性かキレイなレイアウトや斬新なもの、メインの写真が美しい物など色々と目に留まります。

はい、今回も“練習風景というお題”を外れた印刷物のお話です。

全体のインパクト・写真・レイアウトのバランス・色味・書体・キャッチコピー、その内の全部もしくはいくつかが「おっ、これいいな~」と思ったものは手元に残しておきたくなります。
参考にさせてもらおうと思って。
巷ではパクリとも言いますが。(笑)
でも、上手にデザインを拝借するのもなかなか難しいものなんですけどね。

チラシならせいぜいA4サイズまでであり、載せる情報もさほど多くはなく比較的作りやすいです(あくまでも比較的ですよ)。
前回にお話させていただいた通りチラシの目的は、①目を惹いて、②興味を持ってもらい、③日時をお知らせする、なので。

ところが、当日ご覧いただく「プログラム・パンフレット」はそういう訳にはいきません。
ご挨拶に始まり、ステージごとに曲名・作編曲者や曲の紹介、メンバー紹介、吹奏楽団せせらぎの情報などなど。
さらに「プログラム」は、開場から開演までの時間や幕間の休憩時にもお読みいただける「読み物」としての色合いも兼ねる側面があり、公私ともに多忙を極めるK氏にも尽力いただいて、せせらぎでは「指揮者のひとりごと」というコンテンツも載せています。(「指揮者のひとりごと」はせせらぎホームページで好評連載中です。ぜひそちらもご一読下さい。)

さて、これだけの情報になってくるとサイズもA4の1面分では到底足りません。
過去のせせらぎではA3の二つ折り、ハンカチサイズの4つ折り、など色々と作ってきました。
そんなせせらぎプログラムに異変が起きたのは、第22回せせらぎコンサートの時でした。

「CDジャケットサイズの冊子って出来ますか?」
こういう問いをいただいて。
以前にもCDのケースに収まるサイズの4つ折りは作った記憶がありましたが、その時はなんと16ページからなるまさに「冊子」にしたいとの事。
しかもっっっカラーでっ!

「とても大変そうだなぁ…」と他人事のように思ったのを覚えています。

さぁそれからは本当に沢山考えて、沢山素材を探して、試行錯誤の日々でした。
1色モノクロだと、見映えからも表現方法はある程度限られています。
基本的に白地に黒文字、黒地に白文字、濃い目の網点に白文字、薄目の網点に黒文字、あとは網点の文字、くらいのパターンで、背景に写真や模様などを配し、そこに四角や丸などの枠などを使って、読みやすくそれでいて変化のあるように見せ方を考えていきます。
それなりに多様な表現からの選択ではありますが、とは言え所詮1色です。
ところがカラーとなるとその表現は数十倍数百倍からの選択になります。
単なる「濃い・薄い」だけではなくなってしまうのが、カラーの恐ろしいところです。

ここで、冒頭の「参考にする」が多少なりとも活きてくると良いのですが…、いや、活きてきましたとしておきましょう。
雑誌でも高級志向のものやファッション系のもの、特にある程度の高い年齢層へと向けたものが、落ち着いていて尚かつセンスのいい表現が使われていると感じます。
色合いや書体、写真の使い方、ページ内の文字と空間のバランス。
目次一つ取ってみても様々な表現方法が取られている事がわかります。
まぁそう簡単に拝借できるものでは無い事は先ほども書きましたが、とにかくそういうものの中から使えそうな表現を探し、再現できるように頑張る訳です。
カラフルで、それでいてスッキリと「読みやすく」も忘れないように。
その時はなんとか締め切りにも間に合い、お越しいただいた皆さんにもご覧いただくことが出来ました(結構冷汗ものでしたけど)。

ここ数年は1色かつページ数が12ページとなり、実行委員会さんのお気遣いも感じています。(実は予算の都合かもしれませんが)
一度、「間」を取りたいあまりに文字を小さくし過ぎたようで、アンケートでご注意をいただいた事もいい教訓となってます。

そんなこんなでご来場いただいた皆さんには、そういう苦悶と苦闘の上に出来上がっているのだなぁと思いつつも、コンサート休憩中に気軽に「眺める物」としてご利用いただけると幸いです。
また、アンケートなどで感想などいただけるととても喜びます。
そして、私と同じような目線で、車内吊り広告や雑誌に目を通していただけると、記事の内容以外に何か新しい発見を得られるかも知れませんよ。

トランペット よこぜき でした。