Vol.50 とあるトランペット奏者のひとりごと

今年のせせコンでは、Jazzyな曲が2曲とり上げられています。
これまで、せせらぎでは「聖者の行進」やグレン・ミラー楽団の「イン・ザ・ムード」、ベニー・グッドマン楽団の「レッツ・ダンス」、カウント・ベイシー楽団の「ワン・オクロック・ジャンプ」などのビッグバンド系はもちろん、モダンジャズ・ビバップの雄、ディジー・ガレスピー楽団の「チュニジアの夜」や「マンテカ」などをとり上げて来ました。
近年は、大曲をとり上げた事による体力温存のためか、私たちトランペットパートが皆さんの期待に上手く応えられなかったからか、ジャズ系はご無沙汰だったように思います。
それが今年は2曲もJazzyな曲があるのです。
とは言え、前述のようなジャズの名曲として歴史に残る「ガッツリ系ジャズ曲」ではなく、有名曲をスイングに崩して演奏する「ジャズアレンジ曲」になります。
そもそもジャズ自体が、何かのテーマを崩したり、異なるジャンルの音楽を融合したりして変化・進化してきたものですので、アレンジものこそが「ジャズ」の本質と言えるのかも知れません。

何はともあれ、なんちゃって「ジャズ好き」としては、嬉しい選曲です。

吹奏楽アレンジされたジャズ曲の譜面には「swing」「jazz feel」などと冒頭に書かれていて、その譜面上では、普通に書いてある8分音符2つ一組のバランスを崩して前を長めに取るように演奏します。
最近の楽譜の中には8分音符ではなく、ご丁寧にも符点8分音符と16分音符に分けて書いてあり、かえって読みにくくなっている親切な(?)譜面もあったりします。
この「スイング」という崩し方、上手く「ノリ」に発展させて行くのがなかなか難しく、日本人は苦手では?などと良く言われます。
スイングでは基本的に8分音符2つ×2拍の「タタ、タタ」を「タータ、タータ」と崩すのですが、さらに前の音をハッキリと発音せず「ドゥーダ、ドゥーダ」「ンーダ、ンーダ」と後ろの「ダ」を強くハッキリと出します。
この「後ノリ」がつかみにくいんですね。
ともすれば「タンタ、タンタ」や「チャンカ、チャンカ」みたいになってしまうんです。
日本人として、祭のお囃子や音頭がDNAに染みこんでいるのでしょうか。
これは一方で、吹奏楽教育の中で「拍の頭にアクセントを置く」「小節の1拍目は強拍で」という、一般的な基本を体に叩き込まれてきた事も弊害になっているのかも知れません。

この「ドゥーダ、ドゥーダ」が全パートで絡み合い出すと、全体にうねるような「グルーヴ」感が出てくるはずなのですが…。
今年は、ご来場いただいた皆さんに「うねり」を感じていただける演奏になるでしょうか?
私自身は邪魔にならないように精一杯ついて行くのみですが、そこを目指して一緒にうねって行きたいと思います。

トランペット よこぜき