せせらぎ人語

Vol.47 2012.12.14(金)の合奏風景2012年12月24日

スタジオには7時45分に到着したので、コラールの終わり頃からの参加でした。
仕事帰りに練習に行くのですが、なかなか基本合奏に間に合いません。
基本合奏でのスケールやアルペジオ、ハーモニーの練習は本当に大切です。
本番が近くなればなるほどそれを実感します。

「コラール」は一度通した後、1ヵ所のみ取り出して練習をしました。
ゆったりした曲であり、音の出だしにはとくに気を遣います。「すみません」
と思いながら吹くところもしばしば。またCやEのフォルテのところを
どのように吹いたらいいのかがよく掴めていません。僕にとっては
難しい曲です。

続いては「マーキュリー」でしたが、今の段階ではテンポを上げず、
記譜通り正確に演奏することを目指した合奏でした。
きちんと練習できていないところは、速くなったときに転がる傾向に
あるとよく言われます。今日のようにアーティキュレーション、
リズムを確かめ、替え指を検討し、指と息との連動を考えながら吹くことが
できるのはこの時期ならではだと有り難く思います。

3曲目の合奏は「スーサの休日」。
真島俊夫の編曲により、「星条旗よ永遠なれ」がジャズになりました。
この曲をスウィングで吹くことには大変戸惑いがあったのですが、皆さんに
引っ張っていただいてなんとか慣れつつあります。
この日はトランペットFさんのリズムが完璧でした。

最後は新譜への挑戦でした。
曲は「日本の情景【夏】」と言い、「海」「蛍来い」「われは海の子」
「七夕様」等、日本の夏を歌った童謡計8曲のメドレーです。
曲が次々と入れ替わり、その度に拍子も調もテンポも変化します。
楽譜を追いかけるのに必死でした。
しかし指揮者K氏は途中「良い合奏だ、良い合奏だ」とおっしゃっていました。
初合奏の皆の緊張がよく伝わる、気持ちの入った演奏になっていたそうです。

せせらぎは7月初旬に定期演奏会を行うので、せせらぎ年度では約半年が
過ぎたところです。演奏会まであと6ヶ月あるこの時期はしっかりと下地を
作るときだと思います。とは言えせせらぎの平成24年の練習は21日が今年最後です。
皆さん年末年始はどのようにお過ごしの予定でしょうか。
我が家は家でゆっくり子どもと過ごします。
それから、年始の練習まで少し間が空くので、破れているタンポを修理しに
行かなくてはと思っています。

SAX いいむら

Vol.46 いつものトロンボーン奏者のひとりごと2012年12月8日

小説を《読む》《書く》。
物語を《聞く》《描く》。
好きな物事を《見る》《する》。
そして 音楽を 《聴く》《奏でる》。
ということの 《《本当の意味》》。

===========

《《相棒》》

この 吹奏楽団せせらぎの《公文書》に ツマラナイ物語を描いたのは 数年前。
団員の声 30人目の記念に 『ひとっさん』自己紹介書いてっ! と
記念の大役を 仰せつかりました。

僕は ホント 人間が 変態(ノ゜O゜)ノ。 いやいや人間が 変に出来ているのか
他人とは少し変わった事をする事に エクスタシーを感じるんですf^_^;

という事で 思いついたのが 物語を《描く》事でした。
そして その物語の中に自分自身を 登場させたのです。

『警部!事件です!』の タイトルで 描かせて戴きました。
そのストーリーの中で僕を 指名手配の犯人役で登場させました。
それから 当時のトロンボーン パート全員も登場させました。

少し布石として 書きますが 僕は 子供の頃からの《鉄ちゃん》です。
《テツ》です。
と言っても 決して『じゃりんこ ちえ』の親父『テツ』では ありません。
が 大学の『けいおん』の仲間に シンガーソングライターの T君って言うヤツがいて
彼は僕の事 『オイ!!テツ!!」って 呼んでました。
僕は《テツ》ではなく 《鉄道ファン》です。 《マニア》ではなく 《ファン》です。

最近は 色々な呼び方があるようです。
一般的に 鉄道写真を楽しむ 《撮り鉄》。
ミニチュアの鉄道を楽しむ 《模型鉄》。
実際の鉄道車輌を研究する 《車輌鉄》。
鉄道の走行音や車内放送 はたまた 駅の発車ベルを録音する 《音鉄》。
鉄道の備品や行き先表示板
はたまた 踏み切りの信号機まで集める 《収集鉄》。
それから最近は 男の子の領域である鉄道に
女性が進出してきました。これを 《女子鉄》《鉄子》等といい
その女性の部屋を《鉄子の部屋》 というらしいです。

そして やはり一番は《乗り鉄》でしょう。
ひたすら目的地へ向け 自動車でも 飛行機でもなく鉄道に《乗る》。
いや何の目的もなく 鉄道に《乗る》人もいます。
何が面白いのかと言えば あの『カタン コトン』を
全身で エクスタシーを感じながら 流れて行く風景を楽しむんです。p(^^)q

ここで必要となるのが 『時刻表』という名の 《相棒》なんです。
僕は 子供の頃《机上旅行》を楽しんでいました。
机の上に《時刻表》を広げ
今日は北海道へ行こう!とか 九州の枕崎に行こう!
明日は 日本一周しよう!
今日は 各駅停車で 青森へ行こうか?
日本海回りで行こうか 東京経由で行こうか。
机上旅行とは 実際には何処へも行かず
時刻表だけで《想像》しながら 旅に出るのです。

あの頃 地方には新幹線が無かったので
《急行列車》が いっぱい走っていました。
時刻表から《急行》の2文字が 無くなり寂しいです。
小学生の僕の《相棒》は『時刻表』であり 《時刻表を『読む』》事でした。
そして この『時刻表』という《相棒》を武器に
トラベル ミステリーの頂点に立った作家がいます。

===========

『警部!事件です!』
この警部のモデルに なったのが
当時よく読んでいた 人気推理作家で鉄道ファンでもある
《西村京太郎 先生》の『○×特急殺人事件』 『○△駅殺人事件』
『寝台特急△×☆◇の女』や 『〇〇〇殺人ルート』等に登場する
主人公の《十津川警部》が ヒントでした。

また 僕は好きになったら ハマッてしまうタイプで
静岡県との県境にある 神奈川県の湯河原へ
《西村 京太郎 先生》に お会いするため
京都から快速電車と各駅停車を 乗り継ぎ乗り継ぎ行きました。
《乗り鉄》です。
そして先生と 二人切りで会話も交わし
僕が 京都から来た事を告げると 先生は 一層の笑みを浮かべ
会話が弾んだ次第でした。
笑みの意味は 以前 京都は伏見の 墨染に住んで居た。 ということ。
《十津川警部 SLを 追う》の著書を手に
《西村 京太郎 先生》と ツーショット。

寝台特急(ブルー トレイン)がブーム真っ只中の 中学2年の秋
昭和54年10月20日 土曜ワイド劇場で放送された
《寝台特急 殺人事件》の原作者と ツーショットとは………
夢心地でした。
人間 行動力が大成功のアイテムなんだ と感じる瞬間。 ということ。

そう言えば先日 土曜ワイド劇場の《西村 京太郎 トラベル ミステリー》で
十津川警部の《相棒》亀井刑事役を 高田純次が演じていました。
初登場です。
愛川欽也は 地方ロケが辛くなった。 ということ。
高橋 英樹の十津川警部
高田 純次の亀井刑事。
これから どんな《相棒》を 演じてくれるんでしょう?
ここで 新しい《テツ》が生まれました。
《小説鉄》と《ドラマ鉄》。

===========

さて 僕たち 音楽人間の《相棒》って 何なんだろう。
一番前で タクト振っている マエストロ?。
うん! 正解。p(^^)q

いやいや!(゜o゜)
それは 前後左右 一緒に奏でているプレーヤー達 でしょ(^O^)/
ハイ! ( ^^)Y☆Y(^^ )

いやいや!(-.-;)
そりゃあ 目の前にある楽譜じゃん。(^^ゞ

え〜〜 (゜o゜)
そんなん 楽器に決まってるやん( ̄▽ ̄;)

\(^^:;)まぁまぁまぁ!

===========

トロンボーン奏者の 赤川博志が
いつも馴染みの大乃国屋書店で 立ち読みをしていた。
「ねぇ〜博志君! 何読んでるの〜ぉ」。 女友達が 覗き込んだ。
「へぇ〜博志君! もう気にしてるんだ」。
「………」。
《アルツハイマーの予防と健康の秘訣》。
博志は さっきからずっと この本を読んでいた。

「へぇ どれどれ〜ぇ」
女友達は 博志の読んでいる本を奪い取り 読みはじめた。

{若年性アルツハイマーの予防には
……… 中略……… ……………………………
大脳を刺激する活動をする事。
例えば 小説を読む。また 小説を書く。物語の風景や 人物。
そして その風景や空気の匂い。
はたまた 登場する人物の食事の味まで。
想像する事で 大脳を刺激しましょう。
それから 未知を知る活動を しましょう。
例えば 行った事のない土地へ《鉄道旅行》は いかが?
素晴らしい景色を 自分自身の瞳で見て 感動されては いかが?
そうする事で また新たな未知を求めて《鉄道旅行》を………。
感動する事で 大脳を刺激しましょう。

そして 貴方も 吹奏楽で楽器を演奏されては いかが?
吹奏楽団で活動するには まず 《相棒》である楽器が必要です。
楽器を演奏する行為が 大脳を刺激するんです。
それから 演奏のための暗号を書いた 《相棒》である楽譜が必要です。
楽譜に書かれてある暗号を 自分の瞳でリアルタイムに追ってゆき
その暗号を 音楽として 表現する事が 大脳を刺激するんです。
そして 吹奏楽団の活動には 複数の《相棒》であるパートナーが必要です。
お互いに 音程を合わせたり和音を合わせたり
楽しく みんなと一つの物を《創造》 《想像》することが 大脳を刺激するんです。
そしてそして 大所帯になった吹奏楽団には 音楽の交通整理のお巡りさん。
演奏者の《相棒》には指揮者のマエストロが 必要です。
演奏者は いつ指揮者に指摘されるんだろう。と ビクビク(¨;)
と 大脳を刺激されるんですf^_^;

…………中略………………
よって 管楽器を演奏するには 《指》が必要です。
貴方も小学生の時 縦笛を吹きましたね。
そうです《指》を使う事で 大脳を刺激しましょう。
ホント 《指》を使う事って大切なんです。
《指》を使って音程を変える作業をする 管楽器奏者は
常に大脳を刺激しています。
よって 比較的アルツハイマーには 『なりにくい』のです。}

「って書いてあるよ! 博志君!!」。
と 女友達が 博志の顔を覗き込むようにして言った。

すると 博志の目が点になっていた。(。。;)

再び 女友達が 博志に話しかけた。
「ねーっ! 博志君ってさー!何ていう楽器 演奏してるんだっけ?」。

「トロンボーン!(*_*)」。

「あっ!…………………。」(ノ><)ノ

女友達は絶句した。 完。
トロンボーン中川。

Vol.45 とあるホルン奏者のひとりごと2012年12月6日

せせらぎの練習場は6時から開いているのだけど、わたしは7時くらいに到着することが多い。
この日もとりあえず音出しをして1週間怠けた唇をたたき起こすことからはじめなければ!
と思ったのも束の間、ガサゴソ準備してるうちに指揮者到着。近ごろは指揮者殿の到着が
早くて、以前より合奏のスタートも早い!合奏時間が長いのはいいことだけど、ろくに
音出しができずに始まると、あわわ、となってしまうわたし…。
(せせらぎの場合は最初に基礎合奏があるのでまだ助かるけど!  )

基本練習ではホルンパートのアンサンブルがよいと褒めてもらったけど、この日のわたしは
うまく音が出せず、高音もいまいち。ホルンパートはパート割りがまだ決定していないので
毎週違うパートを吹いたりするんだけれど『今日は高いのやだ、むり』とパートリーダーに
わがままを言い、比較的楽なのを吹かせてもらった。
毎回初めにやる『コラールin E♭』そこまで高音なわけじゃないけど実はわたしが一番苦手
な高さなので1stはパス。無理して吹くと合奏最後まで持たないと思い、
続く『南の島のハメハメハ』も同じ理由でパス。流れ的に次の『テームサイド序曲』は1st、
でもこの曲は好きだし高音も単発の音なのでOK笑。

ここまできてようやく音がでてる感じがしてきたよ。

『マーキュリー』3rdは初めて吹くな。そのうち1stもやってみたいな。
『スーザの休日~星条旗よ永遠なれ』スウィングするマーチって難しい!最後の方リズム
わからん…ちゃんと譜読みしないと!・・・と怒涛のように合奏終了。
毎回いろんなパートを吹くことで自分の苦手な音域や箇所もわかるし、本番でこのフレーズ
を吹きたい!という希望もでてくるので、パート割り決めるのにはよいかもしれない。

それにしても他の皆さんは週一回の練習でどうしてあんなに音が出るんだろう?
お仕事が終わってから駆けつけると、音出しどころか基礎合奏にさえ参加できないことも
多いだろうにちゃんと吹けている。うらやましい…。
いや、自主練してるんだろうか?
わたしの場合、ちょっと間があくとほんとにすぐ吹けなくなるので、できるだけ個人の
音出しの時間がほしい。たとえば二回練習に行けないと三週間吹かないことになり、
そうなるとかなり感覚がおかしくなってしまうのだ。今がまさにその状態。
ほんとは、部活で毎日吹いていた頃のようにばりばり吹けたらなあと思うけど、
なかなか思い通りの音が出せないのが悩ましい。最低でも週一回は吹きたいけど
なかなか難しいんだよなあ。

それでもやっぱり上手くなりたいから、できるだけ時間を見つけて楽器と触れ合おうと
思っている今日この頃です。

ホルン きない

Vol.44 2012.11.16(金)の合奏風景2012年11月23日

今日は、いつもより早く練習場へ着いたのか、久しぶりに基本練習に参加できました。
吹き始めた途端、指揮者のK氏より「出ている音と出ていない音がハッキリしている。
もっと均等に鳴らす様に」との指摘・・・・・。
実はこの日の基本練習の音階はB(H)。
トランペットにとって一番厄介な調でした。
ドレミファソラシドレドシラソファミレドは吹けてもドミソドシソファレドとくると
指回しが判らなくなってしまい、吹かずにごまかしていたところへの指摘でした。
「バレタ、ヤバイ」。 ラッパ3人もいるのにとか思いながら必死で指をさらいました。(笑)

この日は、新曲マーキュリーの初合奏。
ユックリとしたテンポでの練習でしたが、譜面とにらめっこしながら、「あ〜♭落とした」
「あ〜リズム違った」とか色々模索しながらの練習でした。
マーキュリーの前には、以前から練習してきたテームサイド序曲の中間部を
テンポアップしての練習。
やはり難しいですなぁ〜。
僕は、テームサイド序曲ではコルネットを吹いていますが、コルネットとトランペットの
抵抗感の違いにとまどいながら、もっと精度を高めていかなければと思う1日でした。

話は変わりますが、せせらぎには、鉄道同好会「てっちゃん会」の他に「せせらぎゴルフ会」が
存在します。昔は「麻雀同好会」もあった様な・・・・。
ゴールデンウィークと盆と正月の年3回のゴルフ会も恒例化してきましたなぁ〜(笑)
3年位前には、2パーティー作って行ったりしていたんですが、最近はクラリネットのU氏。
パーカッションのK氏。トランペットからK氏と僕の4人で行くのが殆んどです。
更なる仲間が増える事を期待しています。

トランペット ふくち

Vol.43 2012.11.09(金)せせコン実行委員会の風景2012年11月11日

 月に1度、金曜日の練習後に開かれるせせらぎコンサート実行委員会。

 この実行委員会。吹奏楽団せせらぎのメインイベント「せせらぎコンサート」を
取り仕切るという重大な任務を預かっていると言う事もあり、
大変な部分も多い中、それ以上に楽い事もイッパイ!

 11月9日の実行委員会も、練習後に実行委員長宅にて行われました。
 
 

 とりあえず、お腹を落ち着かせるため、食事と共にしばしの歓談。
本日の晩御飯は、Pizza hut。
 と・・・お腹もふくれてきたところで、何故かテレビ。たまたま金曜ロードSHOWで
放送されていた「エヴァンゲリヲン」。メインの選曲候補にあがっていた事もあって、
全員見入る・・・。
 あらあら・・・いくら実行委員長宅だと言えども、くつろぎ過ぎ!
 

 気分新たに、この数カ月間議題となっているメインの選曲へ。このメイン選曲にあたり、
月に1度の実行委員会だけでは時間が足りず、メールでの話合いも進めてきました。
多い日では、1日数十件と言うメールが飛び交うほどの大討論。
そのメイン選曲も、漸く終結を迎える事ができました。
これだけ時間をかけて話し合い、悩み抜いた末のもの
皆さんに楽しんでもらえる様、実行委員一同更に盛り上げていきたいところです。

 そしてこの日は、意外や意外。とんとん拍子に、その他数曲を選曲する事ができました。
まだまだ、全曲決定した訳ではありませんが、ちょっと落ち着けたかな・・・。

 最後に、実行委員の仲間たち。とても気の良い実行委員長。
そして、隙あらば機関銃トークを繰り広げるメンバーたち。
せせコンの話合いをしていると思いきや、脱線し続け
単なる飲み会になっている事もよくある個性豊かな面々ではありますが、
発足わずか4か月にも関わらず、なかなかの団結力。まだまだ盛り上がるのではないか、と楽しみです。

 この日最後の脱線を飾ったのは、(ここでは詳細は明かしませんが)Wiiリモコンジャケット。
そして、深夜0時。本日、タイムオーバーとなるのでした。

 サックス−としえ

vol.42 11月2日の練習風景2012年11月4日

先月、無事にバンビオLIVEを終えて、来年のせせらぎコンサートに向けて、
新たな曲の練習が始まっています。

11月2日の練習は、基礎練習を終え、まずはコラール。
この曲は吹く度に、作曲者の方はすごいなーと思ってしまいます。各パートの音、
和音、強弱などなど、たくさんの楽器があるにも関わらず、吹奏楽曲を一曲
作曲するなんて…私には想像できない世界です…。
私自身はというと、何とか、みんなとのハーモニーが乱れないように神経を
つかって吹いています。

次は南の島のハメハメハ。この曲は確か幼稚園くらいのときに聴いていたと思います。
吹奏楽曲のハメハメハはどんな感じになるのだろうか?と思っていたのですが、
マーチだったんですね。
転調して曲調が変わりながらもハメハメハなのが面白いです。
子どもさんも楽しめる一曲ではないかと思います。

最後にテームサイド序曲。
まずはゆっくりから。テンポを落として練習することで、ちょっとややこしいリズムや
アーティキュレーション、臨時記号を確認できて、テンポアップしてもいい加減にしてしまう
ことなく吹けるのだと思います。特にこの曲は6/8になったり8/8になったり9/8になったり…
臨時記号一杯だったり…パニックになってしまうので、家で譜面とにらめっこしながら
イメトレが必要です。

いつも練習中に思っていること。
テームサイド序曲のオープニングを聴いて、「かっこいい!!」と勝手に感動しています。
自分はリズムを刻んでいることが多いので、特にどのパートを聴きながら雰囲気を合わせようか?
といろんなパートに聞き耳を立てています。
だからこそ、合奏が楽しいんだと思います。
一人で演奏するのもいいですが、いろんなパートの中の一員であれることに幸せを感じています。

来年のせせらぎコンサートはどのような演奏会になるか、今から楽しみです。

サックス こたに

vol.41 子連れ吹奏楽団2012年10月28日

小生、長い根無し草生活から今年の5月に晴れて日本で落ち着いた生活ができることになりました。

そのきっかけを与えてくれたのは娘の誕生でした。
親としての責任感、元気に産まれてきてくれた事への感謝など、想うところは多々ありますが、
実際には見れば見るほど超絶かわいく、お休みの日はずっと一緒です。

家庭内の事情等もあり、せせらぎの練習にも連れて行きたいところなのですが、
さすがに8ヵ月では子連れでいくのは難しいです。そんな中、4、5歳くらいの子供さんを連れて練習に
来ている団員さんをみると、(いつか自分も、、、、)と思います。

いつの日か一緒に練習できる日を夢見つつ、今日もおむつを換えることとします。

ホルン よしだ
 

vol.40 せせコン実行委員会2012年10月22日

次回のせせらぎコンサート実行委員となって数回、実行委員会に出席しました。
今の主な議題はもちろん曲決めなのですが、いやーさすがみなさん吹奏楽の
知識がハンパないですな。

小生なんぞ一応中、高、大と吹奏楽をやってきたハズなのですが、曲名やらなんやら
すっかり忘れて、かろうじて実際に聴くと、
「おお、昔やったことがある」
と思い出す始末です。

そんなのが実行委員、まして曲決めとかしてていいのか、とか思わないでもないですが、
それはそれ、知識が「ある」人とは違う側面から発言したりしております。

たとえば、

「お客さんの多くは吹奏楽曲の知識はあまりないだろうから、だれでも知ってる曲をやろう」、
「今日のつまみはピザがいい」

とか。

誰でも言えそうな気もしますが、まあとにかく知識がないなりに、
頭をひねって意見すると共に、専門知識がいらないところでガンバロウと思う次回実行委員会です。

ホルン よしだ
 

vol.39 鉄道の日に寄せる短編小説《時代》第3話・完2012年10月11日

10月14日のバンビオLIVE vol.2、そして鉄道の日にちなんだ今回の短編小説《時代》。
第1話で登場した鉄郎の物語と、第2話で繰り広げられた往年の蒸気機関車《シロクニ》の歴史が
今回、リンクします。
どうぞお手元に、バンビオLIVEのチラシのご準備を。
BGMには、もちろんゴダイゴの銀河鉄道999が外せませんね。あ、百恵ちゃんも登場します。
そして、長岡京駅で出会ったあの、ロシア人風の美女の正体とは・・・?
Tb中川氏渾身の最終話、どうぞお楽しみください。

======================

「お父さ−ん。 チケットありがとう」。
鉄郎は 家族と一緒に 夕ご飯の食卓を 囲んでいた。

「あのさぁ。 昨日 駅で こんなチラシ配っていたんだけど
 お父さんも一緒に コンサート行こうよ」。

鉄郎が父親に そのチラシを見せていた。
そして 高校生の姉が そのチラシを覗き込んでいる。

「まぁ− かわいいチラシ−っ」。
「えー どれどれー」。
「吹奏楽団せせらぎ バンビオ LIVE!ってかー」。
父親は 左手に そのチラシを持ち
右手には なみなみと 注ぎ込まれ美味しそうに泡立った ビールのグラスを 持っていた。

そのチラシの裏面には
{こんにちは 吹奏楽団せせらぎ です}っと書かれ 楽団の紹介なんかが書かれてある。

父親は 右手の美味しそうな そのグラスを 口へと運んで 一気に飲み干した。
すると 高校生の姉が父親から そのチラシを取り
「入場無料だって」。
「プログラムは 真夏のSoundS good!。風が吹いている。うみ。
 また君に恋してる。プラス 金管アンサンブルステージ だって」。

そして 曲名の左に描かれている絵を見て 「何コレ?」。

再び父親が チラシを手にすると その絵を見て
「ほぉー いいねー」。と言って ニヤニヤと笑っていた。

鉄郎は
「お父さん!今度の日曜日 10月14日は!お仕事 休みだよね!
 コンサート行こうよ!」と言うと。
「10月14日だったら 記念日じゃないか!」。
「ねーねー!記念日って 何なの?お父さーん」。高校生の姉が言った。
父親は ゴクゴクと のどを鳴らしながら ビールを胃袋に流し込んでいる。
「ひょっとして お母さんとの結婚記念日?」 と再び高校生の姉が言うと
「いや違うよ違うよ。
 お父さんと お母さんの結婚記念日は 5月31日じゃないかー!」
父親が グラスに ビールを注ぎながら言った。
「じゃー 何なの? お父さーん。 記念日って。ねーっ」。
父親は グラスに注いだ美味しそうに泡立った そのビールを
再び一気に飲み干すと 二人に話した。

「むかーし昔 明治の《時代》にさー 東京の新橋っていう所から 横浜まで
鉄道が開通したのが 今から ちょうど140年前の
1872年 10月14日だったんだよ」。

父親は箸で 好物のメザシを摘みながら言った。そして そのメザシを口に運んだ。
すると鉄郎は
「あー そうなんだ! 10月14日は《鉄道記念日》なんだ! だから このチラシに
蒸気機関車が客車を引いて 夜空を飛んでいる 絵が描いてあるんだ!」。と言った。
そして 高校生の姉が そのチラシを見ながら
「じゃーさー このいっぱいのキラキラ星って 銀河なのかなー?
銀河の夜空を蒸気機関車が走ってるんだ。
それじゃー 宮沢賢治の《銀河鉄道の夜》じゃん」
と言うと 父親は「山口百恵の《乙女座宮》だよ」と言って
「♪♪さーああー 流星に乗ってー〜銀河大陸ぅー 横断鉄道ぉ 〜〜ぉぉ♪♪」
と酔っ払いオヤジは歌い始めた。

「お父さん! 今度の日曜日は バンビオライブ行こうよ!」。
「よーし じゃー今度の日曜日は みんなでコンサートに行こう!」 と父親が言った。

と その時 高校生の姉が「あーちょっと私 友達と約束してるんだぁ」
「あっ!お姉ちゃん。 もしかして。 デート!」
「コラ!!」姉が 鉄郎の頭を 軽くゲンコツした。
「もう お姉ちゃん!!何するんだよ!!もう!!痛いじゃないかー」
「オイオイ喧嘩を するんじゃない!お母さんが 見てるぞ!」。
「それで お前 彼氏がいるのか」と父親が言うと 高校生の姉はニヤニヤと笑っていた。
父親が 話を聞くと 彼氏は 凄すぎる程 鉄道と 音楽が 大好きらしい。
「じゃー 今度 日曜日に紹介しなさい 一緒にコンサートへ行こう!」
「えっ いいの?お父さん!」

鉄郎は 母の遺影を 見ていた。
「お母さんも 一緒に行きたかったな・・・・」。

======================

10月13日の土曜日に父親が ある提案を出した。
それは 明日の《鉄道の記念日》に 京都の梅小路蒸気機関車館っていう
日本で最大規模の 蒸気機関車の展示スペースに 子供達を連れて行き
そして あの 銀河の夜空を走る蒸気機関車が 描かれたチラシのコンサートへ 行こう
という企画だった。
家族団欒の夕ご飯が 終わると 父親は《シロクニ》の話を始めた。

「お父さーん シロクニってカッコイイ? 早く走るのー?」。
「そりゃあ 早いよ!超特急《つばめ》の先頭に 立って走っていたんだから」。
鉄郎は 生まれて初めて見る その《シロクニ》の話を 目を真ん丸くして聞いていた。
そして 早く 明日に ならないかなと 鉄郎は 床についた。

鉄郎は 父親の話を 思いかえしていた。
《シロクニ》は 超特急つばめ の先頭に立った御褒美に
スワローエンゼルのマークを 張り付けて貰った事。
《時代》の流れで 北海道へ行った事。
そして SLブームの《時代》がきて 再び活躍した事。
でも その最後の活躍の北海道にも《時代》が 押し寄せてきた事。
そして 《シロクニ》のラストランで 有終の美を飾った事。
鉄郎は 眠れなかった。
床につく前に お父さんが言った言葉に 興奮していた。

「鉄郎!その スワローエンゼルの 《シロクニ》はさー
 明日 行く 梅小路蒸気機関車館に 展示してあるんだ」。

あの 北の大地で爆走していたスワロー エンゼルの《シロクニ》は
昭和47年10月14日 鉄道開通100年記念行事の 梅小路蒸気機関車館 開館のため
京都へ里帰りしていたんだ。

そして 父親は こうも言った。
「鉄郎!その《C−62型 蒸気機関車が あの 松本零士先生の 描いた
 『銀河鉄道999』の モデルになった機関車なんだよ」。
鉄郎は 知らぬ間に 眠ってしまっていた。

======================

「鉄郎! この列車に乗るのよ!。
 鉄郎! もう 過ぎ去った事は 忘れるのよ!。
 鉄郎!この列車に乗るのよ!。
 鉄郎!これからは 前を向いて走るのよ!。
 鉄郎!この列車に乗るのよ!。
 鉄郎!この列車に 乗って 未来へ 旅に出るのよ!。
 鉄郎!私と一緒に この列車に乗るのよ!
 鉄郎!この列車に乗って 新しい未来へ・・・・」。

鉄郎は 長袖のワンピースに 黒いコート。そしてロシア人が 被っているような
毛皮の高帽子に 腰まである綺麗な長い金髪と 切れ長の目に 長い睫毛。
そして瞳はブロンズの 特徴的な美人に手を引かれ 銀河行きの その列車に乗った。
鉄郎は 「お母さん!」と 一言の寝言を言った。

完。 トロンボーン 中川。

vol.38 鉄道の日に寄せる短編小説《時代》第2話2012年10月10日

さて、Tb中川氏による、鉄道の日に寄せる短編小説《時代》第2話をお届けするわけなのですが
念のため申し上げておきますと、
みなさん、ここは、吹奏楽団せせらぎのHPであります。
確かに、この楽団には少々血中鉄分濃度の高い団員がちらほらおりまして、
不定期に団内有志「せせらぎ鉄ちゃん会」主催の鉄道ツアーが組まれることもあります。
が、決して鉄道愛好会のページへ突然リンクされているなどということはございません。
大事なことなのでもう一度申し上げますが、ここは、「吹奏楽団」せせらぎのHPなのであります。

======================

この物語の主人公。
[吹奏楽団せせらぎ]に 纏わる全ての人々。
いや 鉄郎少年。えっ? それじゃ 黒いコートの謎の女性(^O^)/ 。
なんでやっ(゜o゜)\(-_-)。

======================

1年365日の たった1日。たった1日 この日だけはコイツが主人公でも いいだろう。
昔々 かつて 《東海道の雄》《陸の王者》と 呼ばれ
数々の特急列車の先頭に立った蒸気機関車。《C‐62型蒸気機関車》。

======================

みんなは 僕の事《シロクニ》と呼ぶ。
僕が生まれたのは むか〜し昔。昭和23年。
辛く悲しい戦争は終わってはいたが 敗戦国は アメリカ合衆国の統治下にあり
日本は日本ではない《時代》だった。
そんな《時代》に 僕は生まれた。

大国は 敗戦国に 新しい設計の機関車を 作らせなかった。
戦争中に軍事物資の輸送で活躍した
動輪軸4本のD型機関車 《D‐52》 デゴニ君のボイラーを使用し
戦前に 特急列車の先頭に立った
駿足の動輪軸3本の C型機関車《C‐59》 ゴーキュー兄さんの車輪を 取り付けて
完成させたのが 改造機関車《C‐62》 シロクニだ。

僕の兄弟は 全部で49台。その中で 僕は2番目に生まれた《C‐62 2》
通称『スワローエンゼル』。 僕のデフレクターには 燕のマークが貼り付けてある。
あの超特急《つばめ》の 先頭に立ったご褒美に 取り付けて貰ったんだ。
だけど 僕のボイラ−は あまり調子良くなかったから
《つばめ》の先頭に立つ機会は 少なかった。
でも 僕は頑張って客車の先頭に立ち いっぱいの お客さんを運んだ。
そして 日本の《夢と未来》を運んだ。

だけど《時代》は 僕を受け入れなくなってきた。

僕は 石炭と水を積んで走る。
石炭を燃やし ボイラ−で お湯を沸かし その水蒸気でピストンを押し それで車輪を回す。
16気圧に ならないと 僕は 走れない。
モクモクと煙りを吐き 火の粉を撒き散らし トンネルの中は煙たくて仕方がない。
長旅の途中では 石炭と水を補給する。
労働力と時間の無駄だ。 「タイム イズ マネー 時は金なり」。
僕は 効率の悪い《機械》だ。

《時代》は 電気の時代。
超特急《つばめ》の先頭には カッコイイ流線型の電気機関車
《EF‐58型電気機関車》が 立っていた。
長旅の途中 石炭も水も補給しなくていい。最先端の《機械》だ。
だけど このイケメン。名前は《ゴンパチ》だった。

===========

僕は 東海道から北海道へ 左遷された。

だけど僕は 寂しくなかった。
そこには 僕の仲間が頑張って走っていたんだ。
戦前生まれの《D‐51》デゴイチ君は 重くて長い貨物列車。
大正生まれの 《9600》キュ−ロク爺さんは 老体に鞭を打って
夕張で石炭を運んでいたんだ。
それから とってもスマートで 一番綺麗なスタイルの 《貴婦人》って 呼ばれていた
《C‐57》 シゴナナ姉さんが お客さんを乗せて走っている。
シゴナナ姉さんは京都駅で よく見掛けたもんだ。
シゴナナ姉妹は 215台も生まれたんだから いっぱい見掛けた。
彼女は 京都から山陰方面へも走っていた。
この僕なんか 図体がデカくて重いから 線路規格の低い場所には行けなかったんだ。
デゴイチ君や シゴナナ姉さんは どこにでも行けて羨ましかった。
みんな頑張って走っている姿を見たら 過去の栄光なんて どうでもよくなっていた。

===========

ある頃 僕は《ニセコ》っていう 急行列車の先頭に立っていた。
昔と違うのは 僕の弟《C‐62 3》との 共同作業だった。
僕の弟は とても調子の良い故障知らずで みんなから 信頼が厚い存在だった。
だけど さすがに 急な上り坂は 辛かっただろう。
そんな弟の 前で引っ張ってやるのが 僕の役目だった。
急行列車だから急いで走らないと。
僕も弟もモクモクと 煙りを吐きながら 頑張って走った。
そんな姿を 見たくて 全国から 人々が集まってきていた。
かつて《東海道の星》と呼ばれ 超特急や寝台特急ブルートレインの 先頭に立った
迫力満点の シロクニが 2台連なり走る姿は 圧巻だった。

《時代》は電気の時代。世の中から 効率の悪い《機械》を 無くしてしまおう。
無くなる前に この目で・・・・・・・・・・。

《時代》は SLブーム。
休日になれば 人々がシロクニを見にきた。 日本全国から見にきた。
僕は 再び 栄光を手にした。
東海道の《時代》より スター《星》になっていた。
僕は 弟と 手を繋ぎ 頑張って走った。雨の日も風の日も。
北の大地に降る大雪にも負けず 僕は 急行列車の先頭に立った。

そして再び 《時代》が・・・・・。
昭和46年9月。ラストラン。
僕と弟。そして13番目の弟《C‐62 15》。
なんて事だろう。シロクニが 3台連なって走るんだ。

係の人々が 朝早くから僕を 綺麗に磨いてくれた。
そして僕のシンボル。《つばめ》のマークも ピカピカだ。
僕の役目は 始発駅からお客さんを たくさん乗せてやって来る 弟の先頭に立って
上り坂を引っ張ってやる事だ。
僕は一つ下の弟と一緒に 13番目の弟を待っていた。
駅には 僕を一目見ようと たくさんの人々が集まっていた。

そして 父親らしき人が 少年に話ている。
「よく見ておきなさい。これが 超特急《つばめ》の機関車だよ・・・」。

彼のリュックには『まつもとれいじ』と書いてあった。

僕は 2台の弟の先頭に立った。
間もなく 発車のベルが 人々で溢れかえった駅構内に 響き渡った。

ジリリリリリリリリ〜〜ン。

僕は 発車の合図を 鳴らした。

ボォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ。

もう この土地には帰らない。 人々にサヨナラの汽笛だった。
隣のホームに停車した 普通列車の シゴナナ姉さんが お疲れ様〜〜って汽笛を鳴らすと
操車場で貨車の入れ替え作業に 従事していた 大正生まれのキュ−ロク爺さんも
元気でな〜〜っ!ポ〜ッ ポ〜〜〜っと 汽笛を鳴らした。

♪♪ドードドーレミーミミーレドードドーラソー
      ラーラソーソドードミーミレーレミーレド−♪♪
シロクニが 出発すると間もなく 鉄道唱歌のオルゴールが鳴った。

「今日も 国鉄をご利用いただき ありがとうございます。
終点 函館までお供させていただきます 車掌の○×△□です。
長い間 この《シロクニ》を ご利用頂きまして ありがとうございました。
本日をもちまして《シロクニ》の営業運転を終了させて 頂きます。」

しばらく走ると 初秋の山麓へと近づいてきた。もう間もなく峠だ。
シロクニの運転助手が 大きなスコップで 一杯一杯の石炭を 焚き口に投げ入れている。
初秋の北海道とはいえ 石炭を燃やす運転室は 地獄の釜よりも 熱かった。
今日は コイツのラストラン。
運転助手の額からは ひたすらに 汗が流れている。
「オーイ!絶対 圧力を下げるな−っ!」 運転手は若い助手に 激を飛ばした。
若い助手は 首に掛けた 石炭で薄汚れた 純白であっただろうタオルで 額を拭った。
その 薄汚れたタオルは 乾く暇もなかった。
シロクニは 峠に差し掛かかると 再び汽笛を鳴らした。
ボォォォ〜〜〜〜〜ォ。
太い大きなボイラ−で 熱くなった蒸気が汽笛管を通り抜け
その野太い音が 峠に轟いた ボォォォ〜〜〜〜。

シロクニは 鉄の線路の上を 鉄の車輪で 走っているため 坂道では滑ってしまう。
秋になり 線路の上に落ち葉が乗り そのうえ雨が降れば最悪だ。
直径1メートル70センチもある 車輪が 1回 空回りすれば 速度は5キロ落ちる。
時速30キロ程で 坂道を上るシロクニの車輪が 6回も空回りすれば
たちまち 止まってしまう。
一度 止まれば もう その坂道からの発車は 困難だ。
再び 麓まで後退し 初めから やり直しだ。

僕は 時代遅れの《機械》だ。

シロクニは 峠への坂道を鈍い速度で上っている。
運転手さんが 左手で何かレバーを動かしている。
僕の煙突の後ろにある ラクダのコブみたいな形の砂箱から
車輪の直ぐ前まである配管を伝って 線路の上に 砂を落としていた。
空回りを防ぐためだ。そして 運転手さんの腕の見せ所だ。
シロクニは 真っ黒な煙りをモクモクと吐き
かつて東海道を 颯爽と駆け抜けていたとは感じない程 鈍い速度で 坂道を登ってきた。

だけど 3台のシロクニが見えると 人々は 大きく手を振り 人々は サヨナラを伝えた。
《シロクニ》は たくさんの客車を従え 人々の前を走り抜けた。
カタン カタン。 カタンカタン。
線路と線路の繋ぎ目を 最後尾の客車の車輪が 通過した。
つい 先程まで シロクニの煙りと ピストンを押す蒸気の音。
それに列車の通過する 車輪の音。
そして シロクニの汽笛で騒がしかった峠に 静かな秋風が吹いている。
線路脇のススキが 何事も無かったかの様に 秋風に その身を委ねていた。

======================

峠を越えたシロクニは 終着駅 いや《時代》に向かって爆走している。
さすが平坦な鉄路では 本領を発揮していた。
沿線では 《最後のシロクニ》に 手を振っている人々や勇姿を永遠にと 写真に収める人々。
《シロクニ》の 思い出に浸る人々で 賑やかだ。
《シロクニ》は 自分の《あの時代》を その手で掴んでいた。

======================

運転手さんが シリンダーへ蒸気を送る加減弁を 閉め始めた。
僕は 徐々に 速度が落ちてゆく。
徐々に 僕の《時代》が終わってゆく。
僕は 超特急《つばめ》の機関車だ。
僕の《スワロ−エンゼル》が 夕日に輝いている。
運転手さんが ブレーキレバーに手をかけると 僕は 終着駅のホームに その使命を 終えた。
そして 《蒸気機関車の時代》は 終わった。(つづく)