何と言っていいのか分からない。2014年8月15日
お酒を呑みに行って、
そのお店の雰囲気がなんだか自分に合うので何度も通うようになって、
お店の方に覚えてもらえて、
他のお馴染みさんとも顔を合わせば酌み交わす。
若い人の中にはこの感じがまだ分からないという方もいらっしゃるでしょうが、
ある程度年齢を重ねてきた方ならわかっていただけるかと思います。
そんな、寺町夷川の馴染みのお店で、
何度かお会いした、豪放磊落なおっさん(実は私より2歳下)がいます。
いつも奥さんと二人の娘さんを連れて来ておられ、
6席しかないカウンターを4人で占拠。
そこに私が加われば一席しか空いていないことになります。
娘ちゃん二人はまだ小・中学生といった雰囲気で、
お父さんお母さん、そして見ず知らずの私が酌み交わしている中で、
ごく普通に宿題に精を出していたりするのです。
なんだか、凄く自然で楽しい酒席でした。
昨日、私が仕事帰りにふらっと立ち寄ると、
奥さんと二人の娘ちゃんはいるのですが、
かのおっさんはいなくて、
代わりに女性が座ってました(後で分かったのですが、おっさんの妹さんです)
ひとしきり呑んでから、
ぼちぼち帰ろうかと思ってお勘定をお願いするとき、
女将さんに「お父さんは今日はいてないんですか?」
とお聞きしたら、
「亡くなりはりましたんや」
という応えが。
唖然としました。
これも後で分かったことですが、
1年半前から癌を患っていたとのこと。
このお店で何度もお会いしているのに、
そんな素振り、ひとつも見せない方でした。
ホントに楽しいお酒を呑まれる方で、
さすがに肩を組み合って呑むことはありませんでしたが、
気持ちの上ではそんな感じで呑めましたな。
奥さんも、妹さんも、二人の娘ちゃんも、
全く湿っぽくなく、
いつものように呑んで食べてしゃべってはりました。
(この日は宿題はしてなかったかな)
きっと、お父さんを偲びながら、
お父さんが大好きなこの店に来たのでしょうな。
ってなことを思うと急に涙がこみ上げて来て、
取り乱してしまいました。
本当に申し訳ありません。
帰り際、女将さんから一冊の本を渡されました。
癌の告知を受けてからの手記を自費出版されたものでした。
名前も知らない方でしたが、
本当に大きな愛を持っておられたことがよく分かります。
I 藤さん、安らかにお眠りください。