情念の嵐2014年7月7日

今回のプログラムで私にとって最も難しい曲であり、
なおかつもっとも思い入れの強かったのが、
アルフレッド・リード作曲『第5組曲』の第3楽章 “ 山伏神楽 ” でした。

私が知っていたリードの組曲は『第4組曲』までなので、
プログラムされるまでは全く知りませんでした。
が、スコアを読んでいくうちに、
どんどん惹きつけられました。
特に惹きつけられたのが “ 山伏神楽 ” です。

まず、技術面からいうと、
6/8拍子であることが難しい。
さらに、テンポが一定なので、
それを維持するのが難しい。

音楽面では、感情を込めすぎてヘトヘトになってしまう。
石川さゆりさんの『天城越え』が思い起こされて、
情念の渦に巻き込まれていくような感じなのです。

ろうそくの火が静かに消えていくかのように、
ヴィブラフォンの最後の一音が消えゆくまで、
一刻も気が抜けません(どんな曲でもそうですが…)

しかし、プログラム一曲目の『マーチ「ブルースカイ」』の入り方が凄く良かったので、
「あ、これなら “ 山伏神楽 ” も上手くいけそうやな」
と直感しました。
毎日プログラムを一周する鼻歌トレーニングを積んできたので、
アンコールまで含めたすべての曲が一つの流れの中にあるからです。

感想は、聴いてくださった方々一人一人によって違うでしょうし、
演奏者にとっても一人一人違うでしょう。
私としては、金管楽器を中心とした濃密な音の塊によって、
情念の嵐が濃密に表現できたのではないかと思っております。