『CHORALE RELIGIOSO』始動2014年2月9日

楽員の多くの方が、私たちせせらぎの強みだと言ってくれること、
それは、合奏の最初に「みんなで基本練習をやる」ことです。

言われてみると、確かにそんな気がします。
私の知る限り、他の一般バンド・社会人バンドでは基本練習をやっていません。
もう何年も楽器をやってきた面々で集まっているんだから、
合奏でいきなり楽曲をやるということになっているのでしょう。

では、せせらぎでは、なぜ基本練習をやるのでしょう?
それは、基本練習をせずにいきなり楽曲をやってもうまくいかなかった経験を、
多くの楽員さん、そして指揮者である私が共有しているからじゃないかな、と思うのです。
いくらチューニングしたとしても、いきなり楽曲では、
音が合わない、
息が合わない、
ということを肌で感じていると思うんです。

おかげで、破滅的に音が合っていないという場面はかなり減りました。
長年の研鑽の賜物です。

しかし、私は、基本練習⇒楽曲練習では、まだ何か足りないと感じていました。
基本練習したあとに、楽曲練習との間を橋渡しする曲が要るんじゃないか、と。
やはり基本練習は基本練習であって、
楽曲に取り組む息とはちょいと違うのです。
楽曲練習にすんなり入っていけるような練習曲を一曲挟んだほうがいいと思い、
「急-緩-急」形式の6~7分の割と易しめの曲を探してきて取り組みました。

これはこれで良かったと思うんですが、
もっと「和音」に気をつけることをクローズアップした曲がいい、
ということは「コラール」をやったほうがいいと思いました。

ところが、なかなかいいコラールが見つからないのです。
ヤン・ヴァンデルロースト作曲『カンタベリー・コラール』という名曲があるんですが、
いやはや、これは難しすぎまして、練習曲という位置づけには向かないんです。
バンド教本の中に書いてあるコラールとか、
短いコラールが集めてあるコラール集とかも読んでみたのですが、
これらは簡単すぎて、あるいは曲調が平易すぎて面白くない。
これでは基本練習の続きにしかならず、
楽曲練習への橋渡しにはなりそうにないんです。

それなら、せせらぎオリジナルのコラールを作ってしまったらどうだろうか?
基本練習は12音階を毎週一つずつ、12週で一周りするように取り組んでいるんだから、
基本練習がハ長調のときはコラールもハ長調の曲を、
基本練習が変ロ長調のときはコラールも変ロ長調に移調したタイプを、というように、
せっかくなら12音階対応のコラールがいいと思ったのです。

といっても私が作曲できる訳ではないので、
テューバ奏者のK藤くんに委嘱しました。
私は勝手に『K藤コラール』と呼んでいるのですが、
まず「B♭」の調のものを作ってもらい、
それを編曲して「E♭」「A♭」の調のタイプ、
という具合にこれまで3つの調性のコラールが揃いました。

そして、次なる「D♭」タイプを用意してもらうにあたり、
これまでのコラールからの編曲でもいいんだけど、
全く新しい曲調、
つまり新曲でもいいんじゃないかと思いました。
「合奏の頭にやるコラール」という縛りにさえ配慮してくれれば、
新曲大歓迎です。

そんな流れで、このたび、『 CHORALE RELIGIOSO 』 が完成しました。
“ 敬虔な ” を意味する標語である “ レリジョーソ ” をその名に冠したとのこと。
点検を終え、現在、楽団内にパート譜が行き渡ろうとしているところです。

いや~、K藤くん、ありがとうございました。
どんな音が鳴るのか、合奏するのが楽しみですな。

※※※

そして、練習曲としてのコラールに限らず、
K藤くんに限らず、
作曲や編曲をしてみたいという人が現れてくれたら、
私たちの活動はさらに豊かなものになるだろうなァ~