久々に『オリエント急行』を聴いて2014年1月8日
フィリップ・スパーク作曲の『オリエント急行』。
作曲者自身の指揮による東京佼成ウインドオーケストラのCDを久しぶりに聴きました。
今も私が音楽活動を続けている原動力となった曲です。
1990年代の初めのほうだったと思います。
NHK-FMで吹奏楽の特集番組があり、
そこで紹介されたのが『オリエント急行』。
原曲のブラスバンド(金管バンド)バージョンです。
当時の私はアルフレッド・リードとかロバート・ジェイガーとか、
アメリカの作曲家の吹奏楽曲しか知らないような奴でした。
正直いって、ちょいと飽き飽きしていたのです。
が、この番組ではヨーロッパの作曲家を沢山紹介していたのです。
何もかもが新鮮でした。
特に強烈な印象を与えたのが『オリエント急行』でした。
「強烈」というのは、『春の祭典』を初めて聴いたときの「強烈」とは全く違います。
『オリエント急行』というのは、凄く分かりやすい曲なんです。
列車が駅を出発し、加速し、巡航し、
旅人の旅愁があり、
それでも列車は走り続け、終着駅に至る。
音でストレートに伝わってくるのです。
「これがヨーロッパのコンテンポラリー(現代に創られている)作品なのか!」
という衝撃なのでした。
「コンテンポラリー」というと、
とかく前衛的なものを求めがちで、
分からない、感じられないものが多いと思いませんでしょうか。
分かったような顔をしとかないと芸術に携わっていないように思われるので、
分かってないのに分かった振りをするなんてこと、
ありませんでしょうか。
でも、『オリエント急行』は分かるし、感じとれるのです。
こういう曲が生まれているなら、俺はまだまだ音楽活動できるぞ、
と勇気付けられたのでした。
これをきっかけに、私の吹奏楽CD買い漁りが始まったのでした。
当時、マエストロ・フレデリック・フェネルとコンビを組んだ佼成ウインドは黄金期を迎えていました。
時代もよく、CDがしょっちゅうリリースされていたので、
佼成ウインドのCDを買いまくって知らない曲にどんどん触れ合っていきました。
そうするうち、
新しい曲だけでなく、
これまで聴いていなかったので知らなかった古い曲にも素晴らしい曲が沢山あることを知りました。
こういった出会いをもたらしてくれたのも『オリエント急行』と知り合うことができたからです。
とても感謝しています。
※※※
1990年代後半は、
楽団内で吹奏楽曲を一番よく知っているのは私だったと思います。
が、今ではコンマスのU野氏をはじめ、
多くの楽員の皆さんが新曲研究に余念がありません。
私がボケーっとしていても毎年ビックリするような新曲を提示してくれるので、
ありがたい限りです。