TKWOのニュー・アルバムを聴く2013年9月27日
ふらりと寄ったJEUGIAで、
東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)の新譜、
『火の鳥』と『あまちゃん』が目に留まった。
両方とも面白そうだと思ったが、
なんとなく『あまちゃん』は次の機会でいいかな、と。
『火の鳥』だけ買って帰った。
指揮は飯森範親(いいもり・のりちか)さん。
映画『おくりびと』に、
チェリスト役の本木雅弘さんが所属するオーケストラの指揮者役で出演していた。
それ以外だと『題名のない音楽会』だったか、
NHKのクラシック音楽番組だったかで見たと思うが、
演奏をしっかり聴いたのは今回が初めてだと思う。
プログラムは、
コーディル作曲『吹奏楽のための民話』
ホルスト作曲『吹奏楽のための第2組曲』
ストラヴィンスキー作曲『バレエ組曲 “ 火の鳥 ”』
佐村河内守作曲『祈り』
レスピーギ作曲『バレエ音楽 “ シバの女王ベルキス ”』
TKWOが佐村河内守さんに委嘱した『祈り』を除いて、
すべて私自身の演奏経験があるというのも珍しいと思った。
『民話』『第2組曲』は定番中の定番。
私自身、数回演奏している。
ホルン吹きとしても、指揮者としても。
『火の鳥』は高校時代、その一部ではあるが私の編曲で演奏した。
先生に「一つの移調ミスもない」と褒めていただいたのが印象に残る。
(編曲の出来不出来はどうだったのだろう?)
ホルンのソロも担当させてもらった。
難しいソロだが、
「苦難を乗り越えてきたあとの喜びや開放感」を感じさせる、
とても温かみのあるメロディだ。
(それを表現できていただろうか?)
『ベルキス』は、せせらぎで数年前に指揮した。
M先輩の編曲を所々手直ししながら、
曲作りに苦労したことが思い返される。
また、『ベルキス』準備期間中に飲酒ドクターストップがかかり、
体調の回復具合とにらめっこしながら手直ししていたことも、
今となってはいい思い出だ。
(禁酒していたからこそ徹夜仕事の手直しに対応できたのだろうか?)
さて、佐村河内守さんである。
「さむら・かわちのかみ」って、一体誰?
実は、ほんの数ヶ月前までそう思っていた。
何で読んだのか見たのか忘れたが、
「さむらごうち・まもる」が正解。
聴力を完全に失った作曲家なのだそうだ。
まるでベートーヴェンではないか!
正直申し上げて、
私には佐村河内守さんの曲に対する特別な感動というものは湧かなかった。
私が抱いたのは、
このアルバム全体に対する、
TKWOの演奏の凄さへの驚きだった。
このところでナマでTKWOを聴いていない。
CDの発売ペースもかなり減ってしまっている。
なのでTKWOの最近の様子が分からない。
が、このアルバムを聴いて、
「切れっ切れの演奏やなぁ」
「才気煥発な演奏やなぁ」
と感じた。
「やってやる」感がビシバシ伝わってくるのだ。
もしかすると、かなり若いプレイヤーが多く入団し、
楽団が若返っているのかも知れない。
写真を見ると、昔から知っている顔ぶれもそれなりにいるので、
ベテランと若手の融合がうまくいっているのかも知れない。
だとすると、
オーケストラとして、
組織として、
とても幸せなことだな、
と思いながら聴かせてもらった。