『お葬式』2013年9月16日

台風接近で外出する気になれない日。
ハードディスクレコーダーに録りっ放しで観ていない映画を観ることにした。
選んだのは伊丹十三監督の『お葬式』。

お葬式の哀しみだけでなく、
ドタバタやいろんな人間模様を興味深く描いた映画。
というのは随分昔に聞いていたが、初見。

父・母・姉と、
肉親すべてを失った今観るとどんな感じになるのだろう?
映画を観るというより、
映画を観ている自分を観察してみよう。
そんな感じで観始めた。

ああ、あんなこともこんなこともあったな、
と振り返らせられることが多かった。
が、意外と全く悲しい気持ちにはならなかった。
(ラストの菅井きんさんの喪主挨拶など、
 劇場公開時には多くの方々の涙を誘ったのではないかと思うが…)

名立たる名優たちの若かりし頃に出会えたのも嬉しかった。
先程書いた菅井きんさんもいいなあと思ったが、
御前様役の笠智衆さんのはまりようといったらなかった。
まるで笠智衆さんが出ているシーンだけ、
『男はつらいよ』から抜き出してきたんじゃないかと錯覚するくらいだった。

そして湯浅譲二さんの音楽が、心に寄り添ってきてくれた。

湯浅譲二さんの音楽というと、
私がこれまでに知っていたのはNHK大河ドラマ『草燃ゆる』の音楽だけだった。
そのときは「とても前衛的な作風だなぁ~」と思ったものだが、
『お葬式』の音楽はとても柔らかだった。