剣の修行と、楽器の練習と2013年9月7日

いつも一番乗りでスタジオ入りしているトロンボーンのA武さんがお休みということで、
この日の一番乗りはホルンのH谷さんだった。

椅子並べを終えた後、そのH谷さんが私の元にやってきた。
なんと、ホルンの第3ロータリーが全く動かないのだ。

私も元はホルン吹きだから、
楽器のトラブルには対処し続けてきた。
しかし、こんなにガチガチに固まったロータリーに出会ったことがあったろうか?

力づくで変なことになったら困るので、
楽器屋さんで診断&修理してもらうようにアドヴァイスするしかなかった………

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アルトサックスとトロンボーンの夫婦団員、I村さん。
この日は二人とも早い時間帯にスタジオ入りすることができた。

夫のアルトサックス奏者A.I.氏は、
黙々と自分がしなければならない練習に取り組んでおられた。
そのメインは分散和音(アルペジオ)の練習のようだ。

その様子を見ていると、武士の面影があった………

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今、私は藤沢周平の小説『蝉しぐれ』を読んでいる。

藤沢周平氏の小説に登場する武士といえば、
剣豪・秘剣の持ち主、といった人が多い。
「必殺の剣」で憎き敵を倒す痛快な時代小説を沢山読んできた。
既に剣の修行を終えた人たちばかりだ。

が、『蝉しぐれ』の牧文四郎は、
私が読んでいる前半部では未だ少年で、
剣術修行の最中である。
歳を重ねて剣の腕がますます上がっていきそうな気配はあるが、
今のところ剣豪ではない。
ひたすらに剣の腕を磨こうともがいている青年である。

その姿がA.I.氏の地道な練習と重なった。

剣の修行も、楽器の練習も、
相通ずるものがあるように感じた。