夏の読書2013年8月15日

演奏会の直前一ヶ月くらいは、
やはり演奏曲目のことで頭が一杯になるので、
ちょっと読書する余裕がありません。

いや、何もそこまで思い込むことはないかもしれません。
でも、怖いんです、本番で振り間違えることが。
そう思うと、寸暇を惜しんで「鼻歌トレーニング」してしまうんです。

今、ようやく落ち着いて読書できます。
もちろん今でも読まなければならない楽譜はありますが、
さすがに詰め詰めの状態ではありませんので。

8月の盛夏(暦の上では立秋を過ぎましたが…)に本を読んでいると、
なんだか小学校の夏休みの宿題を思い出しますなぁ。

昨日読み終えたのは、
藤沢周平さんの『隠し剣秋風抄』。
9篇の短編が収録されているのですが、
ラストは『盲目剣谺(こだま)返し』。
山田洋次監督の時代劇3部作の3作目、
『武士の一分』の原作です。

キムタクが山田洋次監督作の主人公を演じるって、どういうこと?
と公開前は思っていました。
(ファンの皆さま、済みません)
しかし、『武士の一分』を観て、
なんと見事な演技だと感服つかまつったのでした。
事務所の方針からか、映画賞を辞退するということで、
彼の受賞はありませんでしたが、
もし辞退していなかったら、
間違いなく日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞していた、
と、私は思います。

剣士としては少し線が細いかなと思いもしましたが、
「盲目の剣士」としてはピッタリだったかもしれません。

キムタクは、訳あって檀れいさん演じる妻を離縁しますが、
“ 武士の一分 ” を果たした後、
笹野高史さん演じる下僕の計らいで、
彼女は女中としてこっそり家に戻るのです。
(キムタクは失明しているので、最初はそのことに気付かない)
が、料理の味付けで妻が戻っていることに気付くのです。

劇場は、このシーンで、多くの人の嗚咽や鼻水をすする音に包まれるのでした。

この場面を小説で読んだのは、
出勤途上の電車の中でした。
クロスシートの二人掛けならまだ良かったのですが、
四人掛けに座っていたのでした。
こんなときに限ってハンカチを忘れているは、
汗拭き用のリストバンドをしていないは。。。