ホルンをどこに配置するか、答えはないのだけれど…2013年2月5日

ホルンの話の前に、
クラリネットの配置例を列挙してみます。
第1列を占拠するかのようにズラッと円弧状に並ぶ配置、
舞台下手側(客席から見て左側)に1st.、2nd.、3rd.の順で3列に並ぶ配置、
せせらぎでやっているように、
1st.は1列目、2nd.と3rd.は2列目という配置、
という具合に、
クラリネットの配置ひとつとってみてもいろいろあります。
(他にもまだまだあると思います)
管弦楽から吹奏楽に編曲された作品を演奏する場合、
通常のクラリネット・パート以外にソロ・クラリネットのパートが書いてあることがあり、
ソロ・クラリネットだけをヒナ段上に配置することもあります。

楽団全体の音響効果を考え、
長年、試行錯誤してきて、
今の形に落ち着いています、今のところは。

さて、ホルンです。
唯一、奏者の後ろ(右後ろ)に向かってベルが開いている楽器です。
つまり、後ろ向きに音が出るのです。

舞台上手側(客席から見て右側)の配置や、
舞台中央の配置の場合、
正板(客席から見て舞台の後ろにある反響板)で反射した音が客席に届く感じです。

せせらぎでは、
舞台下手側(客席から見て左側)に配置してもらっています。
この場合、下手側側板(下手側の反響板)に反射した音と、
ベルからの直接音がミックスされて客席に届くイメージです。

なぜホルンに下手側に座ってもらっているかというと、
まず第一にホルンの音が客席に届きやすいからです。
吹奏楽のトランペットやトロンボーンはかなりの音量を発揮します。
ホルンは音域上、トランペットとトロンボーンを繋ぐところを担当するので、
トランペットとトロンボーンの間に配置したほうがいいのかも知れません。
が、客席にはトランペットとトロンボーンばかりが聞こえ、
ホルンが聞き取りにくいという可能性があります。
ホルンの音が客席に届きやすいほうが楽団全体としてのバランスがいいと思うのです。

第二の理由は、第一の理由と被る感じですが、
ホルン奏者に少しでも楽に発音してほしいからです。
トランペットとトロンボーンの間に配置したら、
ホルンの皆さんが負けじと頑張りすぎて音が硬くなるかも知れません。
でも、客席に近い下手側ならば、
頑張らなくても大丈夫なのです。

(ホルンの音をまともに聴いて、
トランペットが頑張りすぎるのを防ごうと思っている面もあります)

ところで、
ホルンのYさんから、
ホルンの「ナマ音」が客席に聴こえてしまうのじゃないかと心配になる、
という声をいただきました。
私自身、ホルンを吹いていた頃、
下手側に配置されて同じ心配をした経験があります。
が、指揮者になってから、
その心配はないことが分かりました。

本番当日のリハーサル中に客席から音を聴くことがありますが、
楽団全体の音はブレンドされて聞こえます。
ホールの音響というのは、そういうものなのです。
せせらぎと同じく、
ホルンが下手側に配置された他の吹奏楽団を聞いても、
ホルンのナマ音が気になったことはありません。

ホルンの皆さん、
どうぞリラックスして、
今の柔らかい音色を大切に演奏してくださるようお願いします。