『アイヴァンホー』のコンデンス、ようやく完成する。2013年7月5日
コンデンスというのは、もの凄く簡単に言うと
「まとめる」とか「要約する」ということ。
フルートにとっての「ド」の音は、ピアノの「ド」と同じ。
音固有の名前を表す【音名】では【ハ】となります。
が、(一般的な)クラリネットにとっての「ド」は、ピアノでは「シ♭」。
【音名】で表すと【変ロ】。
アルト・サックスの「ド」は、ピアノの「ミ♭」。
【音名】表現で【変ホ】。
上記のクラリネットやアルト・サックスのように
【ハ調】でない楽器を移調楽器といいまして、
実は吹奏楽も管弦楽も移調楽器だらけなのです。
移調楽器だらけの全楽器の楽譜を、
それぞれの楽器の調そのままでズラッと書いてあるのがフル・スコア(総譜)。
だいたい30段くらいになります。
それらすべてを【ハ調】に揃え、
3~4段くらいにまとめていくのがコンデンスという作業で、
そうして出来上がったのがコンデンスド・スコア。
『アイヴァンホー』のコンデンスド・スコア、
ようやく昨日完成しました。
通勤電車の中で1小節だけとか、
会社で昼休み居残り当番になったときに、こっそり4小節だけとか、
ちょびっとずつ進めてきました。
ルーズリーフの五線紙だと、せっかく書いた紙をなくしてしまいそうなので、
私が使うのは綴ってある五線ノートです。
『アイヴァンホー』のコンデンスだけやればいいという訳ではなく、
ノートの途中で、
『マーキュリー』のトランペット・トロンボーン・ソリの箇所をコンデンスしてみたり、
『見上げてごらん夜の星を』のラストの和音だけをコンデンスしてみたり。
何ページ空けておけばいいかなんて読めないし、
『アイヴァンホー』にしても曲の頭から順番にではなく、
気になるところを先に作業したりするので、
ノートの中の楽譜の順番はグチャグチャになっています。
『アイヴァンホー』のように全曲コンデンスできたものは、
五線ノートをコピーし、
頁ナンバーを振って製本するのです。
実は、この製本作業がこれからなんですが…
※※※
作曲家が作曲する際、
各楽器の音域には気を遣うと思いますが、
いきなり移調楽器をそのままの調で書いていくとは思えません。
まずは3~4段くらいのコンデンスド・スコアを作り、
1段目のメロディ・ラインをフルート、オーボエ、クラリネット、トランペットへ、
2段目の対旋律をアルト・サックス、ホルンへ、
3段目の和音をトロンボーン、ユーフォニアムへ、
などという過程を踏んでいる筈です。
私のしているコンデンスは、
作曲家の仕事の逆の流れです。
逆とはいえ、同じルートを辿る仕事ですから、
作曲家の頭の中が透けて見えてくるようで、
大変興味深いです。
本当なら全曲の全箇所をコンデンスしたいのですが、
諸々の制約から、なかなかそこにまで至ることができません。
できるだけ楽曲の隅々にまで目を配ること。
永遠の課題です。